穴見陽一議員のがん患者に対するヤジは「ジョイフル」の業績に影響するのか? その要因を考察する
信じられない光景があったようです。
自民党の穴見陽一議員によるヤジが問題になりました。
これは、2018年6月15日の衆議院・厚生労働委員会。
参考人として招かれた肺がん患者の方へ浴びせられたものです。
受動喫煙対策について意見を述べていた際、なんと「いい加減にしろ」とヤジを飛ばしました。
一連の報道後(報道があったから? )フェイスブックで“謝罪”があったものの、「ご関係の皆様に不快な思いを与えたとすれば」の文面からさらなる反発を招いたわけです。
さらに、以下のことが世間の目に晒されることにもなりました。
- ファミリーレストラン「ジョイフル」の元社長だった
- がん財団の理事をしていた
このうち、ジョイフルに関しては2回代表取締役社長を経験し、同日時点でも代表取締役相談役を務めています。
現代社会ではタバコに関しての不祥事には反発が強くなることが多く、インターネット上では“不買”の声も聞かれます。
とはいえ、そこは巨大企業。
影響が本当にあるのかを、直近の有価証券報告書データから読み解いてみます。
目次
「ジョイフル」の有価証券報告書から読み解く“不買”の効果は?
平成29年12月期「株式会社ジョイフル」の有価証券報告書から、ヤジ問題から派生しての“不買”に関わってきそうな点を挙げておきましょう。
グループ直営ジョイフル店の会社別店舗数及び販売実績(10ページ)
各地区におけるジョイフル店舗の状況を見ると、創業の地でもある九州地区での強さが目に付きます。
その依存度合いとしては、店舗数と売上金額ともに50パーセントを超えているのが特徴です。
ですから、目に見えて影響が出るほどになるには、九州地区の利用者がどのように判断するかに関わってくるでしょう。
具体的には
- がん患者に対するヤジが、他店に流れるほどの問題として認識されるか
- ファミリーレストランとしての代替可能性がライバル店にあるのか
- 時間の経過で沈静化するレベルか? 継続的に強い嫌悪の対象になるか
- 今後の「禁煙化」が実行されるか
といった点がポイントになります。
株式会社ジョイフルにおける役員の状況(23ページ)
「役員の状況」ページを見てみると、現在の代表取締役社長である穴見くるみ氏の上に記載されています。
「相談役」という役職名からイメージされる引退後のポジションではなく、いまだ代表取締役であることにも現れるように強い権限があると容易に分かります。
ITmedia ビジネスオンラインの取材に対し、ジョイフルは「今回の件は非常に申し訳なく思っている。だが、衆院厚生労働委員会での発言はあくまで国会議員として述べたものであり、当社とは無関係だ」(広報室)と回答しているようです。
ただ、このようなコア中のコアな関係者である人物による不祥事について、受け手である消費者がどう判断するのかは「無関係」と言い切るには苦しいところがあるでしょう。
穴見陽一議員のがん患者に対するヤジは「ジョイフル」の業績に影響するのか? その要因を考察する・まとめ
ここまでの要因を考えると、穴見陽一議員の立場からはジョイフルと無関係とは感情的に受け入れられない面はあるものの、その影響は限定的だろうと想像しています。
とはいえ、一回の発言と謝罪対応の誤りででここまでの“炎上”を招くというのは、現代社会ならではと言ってもいいでしょう。
じつは、有価証券報告書の12ページ「事業等のリスク」には以下のような記載があります。
現状では「ファミリーレストランジョイフル」業態が、何らかの理由によりお客様から支持されなくなることは考えられませんが、万一その様な事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
まさに万一起こった「その様な事態」なのでは? と感じる次第です。
それではまた別の記事でお会いしましょう。