【リストラ】損保ジャパンの「従業員4,000人削減」を分析する

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損保ジャパン4,000人削減
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国家試験の勉強に挫折した“資格崩れ”から立ち直り、経理を筆頭に事務仕事を複数経験した男性。女性の多い職場で立ち回って(?)きました。仕事術・挫折からの復活・その他の分野について、複数のブログを運営中。

三菱UFJフィナンシャル・グループなど、金融業界を取り巻く状況が厳しくなるにつれ人員削減のニュースを見聞きする機会が多くなっています。

そんな中、損害保険大手の損害保険ジャパン日本興亜(損保ジャパン)の方針に関して報道がありました。

今回は、当該報道について考察していきまます。

 

そこには、これまでの定型的な手法ではない異業種事業を使った革新的な狙いがありました。

 

(※目次の項目をクリックすると、その箇所をすぐに読めます)

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損保ジャパンの「従業員4,000人削減」概要

まず、損保ジャパンの「従業員4,000人削減」の概要は以下の通り。

  • 2020年度末までに2017年度比で4,000人程度削減
  • 4,000人は全体の約15%に相当
  • 削減分はITの活用による業務の効率化でカバー
  • 余った従業員は介護などを手がけるグループ企業に配置転換
  • 新卒採用を抑え、希望退職者の募集は予定していない

この施策により、2020年度末の従業員数は22,000人〜23,000人程度に減り、人件費などを年間で約100億円圧縮できる見通しとのことです。

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損保ジャパンの「従業員4,000人削減」の影響を有価証券報告書から考察する

類似のニュースと同様に「4,000人」「100億円」など、大きな数字がセンセーショナルな見出しとなるのは仕方ないことです。

 

とはいえ、本当に考察をするのであれば割合・比率を使った視点で考えることは避けられません。

 

そのために有効な資料である有価証券報告書を参照しながら解説を進めていきます。

損保ジャパンの損益計算書(人件費)から読み解く経理財務への影響は?

損保ジャパンの損益計算書における費用のうち、給与の金額は財務諸表の注記で把握することができます。

それによると、2019年3月期とそれ以前の5年ほどは2,000億円前後で推移していました。

削減できる100億円を便宜上すべて給与とすれば、5%に相当します。

損保ジャパンの「介護などを手がけるグループ企業」とは?

損保ジャパンはSOMPOホールディングスの傘下として事業の中核を担っています。

 

同じ傘下には事業の構成(セグメント)として以下ようなものがありました。

  • 国内損害保険事業
  • 国内生命保険事業
  • 介護・ヘルスケア事業
  • 海外保険事業

ここで注目すべきは「介護・ヘルスケア事業」です。

 

2017年3月期より本格参入となり、グループ全体の売上の割合として、2017年3月期から2019年3月期まで、いずれも4%程度で推移しています。

今後はその比率も上昇してくるでしょう。

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損保ジャパンの「従業員4,000人削減」が他の企業と決定的に異なるのは…?

大企業による数千人規模のリストラについて、そのニュースを見聞きすることは珍しくなくなりました。

ただ、今回のリストラについてはほか他の事例とは決定的に異なる点があります。

割増退職金の支払いを伴う希望退職がない

それは「割増退職金の支払いを伴う希望退職がない」こと。

ですから「〇〇億円の削減」というフレーズがあるのみで、新たな負担の話はないようです。

それを可能にしているのが介護分野への配置換えといえます。

 

このように

  • 人が余っている分野から人手不足の分野への配置換え
  • 嫌なら自己都合で辞めろ

というリストラの手法は広がっていく可能性があるでしょう。

 

介護を筆頭に、人手不足かつ今後成長が見込める分野への進出があった場合、新たなリストラの“フラグ”となるかもしれません。

割増退職金の支払いを伴う希望退職がないことの会社視点のメリット

金銭的な負担以外にもメリットがあります。

それは、「辞めてほしくない優秀な人から辞めてしまうことをある程度防ぐことができる」点です。

 

希望退職がない以上、会社側が配置転換のイニシアチブを取ることになるでしょう。

 

ですから、「本業での成果が上がらない人をターゲットにする」ことが、当初の雇用契約に反しない限りできることになります。

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損保ジャパンの「従業員4,000人削減」概要・まとめ

ここまで、損保ジャパンの「従業員4,000人削減」リストラついて考察してきました。

他のリストラ案件との違いに着目すると見えてくることがあるでしょう。

それではまた別の記事でお会いしましょう。

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