「終身雇用を守るのは難しい」から読み解く労働者の生き方とは? |経団連/トヨタ

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国家試験の勉強に挫折した“資格崩れ”から立ち直り、経理を筆頭に事務仕事を複数経験した男性。女性の多い職場で立ち回って(?)きました。仕事術・挫折からの復活・その他の分野について、複数のブログを運営中。

いよいよこの時がやってきたということでしょうか?

 

経団連の中西宏明会長とトヨタ自動車の豊田章男社長が、2019年に相次いで終身雇用について言及しました。

 

今回は、その内容と読み取ることのできる狙い、さらに終身雇用が終わった後の働き方について考えていきます。

(※目次の項目をクリックすると、その箇所をすぐに読めます)

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終身雇用に関する経団連会長とトヨタ自動車会長の言葉概要

豊田章男社長は「なかなか終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきたのではないかと」という見解を表明しました。

経団連の中西宏明会長も「終身雇用なんてもう守れないと思っている」と発言しており、内容としては同じものでしょう。

豊田社長の終身雇用についての認識は「雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」というもの。

一方、中途社員や派遣社員が増えていることについて、「やりがいのある仕事に就けるチャンスは広がっている」と述べました。

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「終身雇用を守るのは難しい」ことの企業側からの狙い・背景

経済界で影響力のある2人の発言は、メディアによってセンセーショナルに報道されました。

その内容にどのような狙いと背景があるのか、専門家や労働者が感じ取ったのは概ね以下のような内容になります。

「団塊の世代」が定年に達した

団塊の世代とは、第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)〜1949年(昭和24年)に生まれた人たちです。

2019年にすべての人がちょうど70歳を迎えることになりました。

人数が多く、それに伴う影響力があり何かとうるさいこの世代。

 

ある意味、団塊の世代に“逃げ切り”を許した後は好き勝手にやろうという意思が読み取れます。

 

先端技術(AIなど)によって代替できる仕事の広がり

近年「AIによって〇〇年後に消える仕事」の話題を見かけることが多くなりました。

実際、大企業を中心に人員削減を進めるニュースも出始めています。

今後、先端技術による仕事の代替は進んでも、逆の流れが起きることはないでしょう。

より少ない人数で会社を回していくことが可能になるわけです。

 

ですから、長期間にわたり社員を抱える終身雇用は経営陣にとって“旨み”がなくなっているのも自然なことでしょう。

 

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余剰人員がいる世代をリストラする布石

いわゆる「バブル期入社組」は、ほとんど競争もないまま希望の仕事に従事しています。

 

その結果、他の世代に比べて人数が多く、余剰人員を抱える原因になりました。

 

近年、一定の年齢(45歳が多い)を基準に早期退職者を募集する動きが活発になっています。

会社の新陳代謝を図りつつ、時代についていけなくなっている人を減らす動きからみても、「終身雇用はもう守れない」と対外的にアピールするのは確かに合理的でしょう。

経済界をあげての「解雇要件緩和」を働きかける前フリ

企業が積極的に契約社員や派遣社員を雇用の“調整弁”として使っている背景に

  • 総人件費の抑制
  • 季節的要因による仕事量変動への対応

に加え

正社員の強固な身分

が挙げられます。

 

すなわち、少々のことでは正社員を解雇できない現状では「終身雇用が守れない」といってもあまり意味がないわけです。

 

そんな中、「終身雇用はもう存在しないのだ」という社会的同意があれば、「会社が社員を解雇しやすい」制度に変えていくことになっても抵抗は小さくなると想像できます。

 

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終身雇用がなくなっていく時代に労働者が考えるべきこと・できる対策

このように、終身雇用が廃れていずれなくなっていく時代、労働者が考えるべきことやできる対策はどのようなものでしょうか。

会社に対して負っていたものが軽くなる一方で、自分の人生について新たに負う項目が出てきます。

「滅私奉公」「忠誠心」なく会社と契約する働き方

会社組織で働く人にとって、「自分と会社は対等関係の契約を結んでいる」と意識している人はまだまだ少数派でしょう。

 

しかし、今後は個人がそれぞれの“ウリ”を活かし、あるいはポテンシャルを見込まれて会社と“契約”し、報酬を得るイメージをする必要があります。

 

つまり「座っていれば毎月給料が振り込まれる」旧来型の考え方ではすぐに立ちいかなくなるのです。

一方で、引く手数多の能力があれば「望まない転勤に対してNoを突きつける」「それならばもっと条件の良い会社に転職するよ」といったカードを切ることもできるでしょう。

一生勉強しスキルアップとアップデートを続ける必要あり

それに伴い、今の会社で使えるスキルに加え、他社でも使えるあるいは独立しても使えるスキルを戦略的に獲得していくことが必要です。

 

仕事関連の知識やスキルがアップデートされるのに対応すべく、文字通り一生勉強することが欠かせなくなるでしょう。

 

「年寄りだから新しいことは分からないよ」という甘えと妄言はどんな立場でも許されなくなっていきます。

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働き方・生き方に関する価値観の明確化

働き方や生き方に関して、かつては「良い学校から良い会社に行き、定年まで勤め上げる」のが真っ当なレールでした。

 

しかし、価値観の多様化によって、人は様々な働き方を模索し始めています。

 

あるいは、個人の事情で“昔の男性”のような働き方がしたいのにできないパターンもあるでしょう。

そんな時、周りに流されずに納得感のある働き方をするには、自分の価値観を明確にしておく必要があります。

生活防衛の考え方と副業(複業)の一般化

終身雇用が一般的でなくなっても、双方が望むのであれば一つの企業に長く勤めるは結構なことでしょう。

 

ただ、そうでない場合は

  • 数年スパンで転職する
  • 副業(複業)を含めたトータルの収入で生活する

など、人によって様々な働き方をすることになります。

 

とはいえ、本業で時間を取られる上に副業でも時給的な働き方をしていては心身ともに無理が出てくることも。

この辺りの兼ね合いや、自分自身の強みを活かすことを考えながら戦略を立てる必要があります。

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「終身雇用を守るのは難しい」から読み解く労働者の生き方とは?・まとめ

ここまで、経済界の大物による発言を題材に終身雇用について考察してきました。

今後も話題になるであろう働き方について、機会があるごとに考えるきっかけにしたいものです。

それではまた別の記事でお会いしましょう。

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